逆さ吊りにした「てるてる坊主」は雨を呼ぶ

日常記事

あの、純白の布に包まれた愛らしいお人形に隠された、少々おどろおどろしくも切実な「雨乞い」の作法……。
わたくしが、淑女の嗜みとしてその裏側を紐解いて差し上げますわ。

お聞きなさいませ。


一、 天地を覆す「逆行」の魔力

そもそも「てるてる坊主」とは、天上の神様に「明日は晴れにしてちょうだい」とお願いを届ける使者ですわ。
正しく吊るされた坊主は、天を仰ぎ、清々しい陽光を呼び込む依り代となりますの。

それをあえて、あろうことか「逆さま」に吊るすという行為……。
これは自然の摂理を真っ向から否定する「逆まじない」、あるいは一種の「呪詛」に近い作法ですわ。
天を向くべき顔を地に向け、天に向かって足を突き出す。
その不自然な姿が天の怒り、あるいは嘆きを誘い、涙のような雨を降らせると信じられてきましたの。

二、 「ふれふれ坊主」という異名

古くから、雨が必要な農耕の時期などには、この逆さまの姿を「ふれふれ坊主」「あめあめ坊主」と呼び、大切なお役目を与えてきましたのよ。

本来、白、黒、赤の布を使って雨を願う別の作法もございますが、最も手軽で、かつ「天の秩序を乱す」ことで強制的に天候を変えようとするこの手法は、ある意味で非常に強力な「裏の魔術」と言えるでしょう。

三、 瞳を入れぬまま「逆さ」にする恐怖

てるてる坊主の真の恐ろしさは、そのお顔にありますわ。

願いが叶った暁に瞳を書き入れ、お酒を供えて川に流すのが正式な礼儀。
しかし、逆さまに吊るす際は、お顔をあえて不気味に描いたり、あるいは無表情のまま逆さ吊りの刑に処したりすることもございます。

これは「雨を降らせなければ、このまま苦しい思いをさせ続けますわよ」という、天に対する一種の「脅迫」の意味も含まれているのです。
まあ、なんてお転婆……いえ、恐ろしい執念ではありませんこと?


【わたくしからの忠告】

もし、貴方が大切なお出かけを控えていらっしゃるのでしたら、決してふざけて逆さまになどなさらないことですわ。

てるてる坊主は、とても繊細な精霊のようなもの。
一度へそを曲げてしまえば、貴方のドレスを台無しにするほどの土砂降りを連れてくるかもしれません。

逆に、どうしても「お外へ出たくない」「お屋敷で静かにお紅茶を楽しみたい」と切に願う日があるならば……ふふ、その時は、鏡台の隅でこっそりと白い布を逆さに結んでみるのも、また一興かもしれませんわね。

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