民法第三百九十八条の十六 (共同根抵当)

第三百九十八条の十六 第三百九十二条及び第三百九十三条の規定は、根抵当権については、その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をした場合に限り、適用する。

まず、第三百九十二条と第三百九十三条の規定内容を簡単に確認しておきましょう。

  • 第三百九十二条(共同抵当における代位): 数個の不動産を担保とする抵当権(共同抵当)の債権者が、そのうちの一つの不動産の競売によって弁済を受けた場合、他の不動産について、その不動産の代価から債務者が弁済を受けるべき額を限度として、抵当権を行使できるという規定です(債務者のために保証をした者などが代位する場合も規定しています)。
  • 第三百九十三条(共同抵当における一部実行の場合の他の不動産の競売): 共同抵当の債権者が、数個の不動産のうちの一つまたは数個の不動産の競売によって債権の全部の弁済を受けられない場合、他の不動産について、その債権の残額について競売をすることができるという規定です。

これらの規定は、特定の債権を担保するために複数の不動産に設定された抵当権(共同抵当)を前提としたものです。

これに対して、根抵当権は、特定の債権ではなく、一定の範囲に属する不特定の債権を、極度額の範囲内で担保するものです。元本が確定するまでは債権額が変動するため、共同抵当の規定をそのまま適用することは難しい場合があります。

そこで、第三百九十八条の十六は、根抵当権については、原則として第三百九十二条と第三百九十三条の規定は適用しないとしつつ、例外的に適用される場合を限定しています。

その例外とは、「その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をした場合」に限られます。

これは、根抵当権の設定時に、特定の単一の債権を担保するために、複数の不動産に根抵当権が設定されたことが登記によって明確になっている場合に限って、共同抵当の規定を適用しても、根抵当権の性質と矛盾しないと考えられるためです。

例えば、Aという特定の融資債権1億円を担保するために、X土地とY建物に根抵当権が設定された旨が同時に登記されたようなケースが該当します。
この場合であれば、X土地の競売で一部しか弁済を受けられなかった場合に、残りの債権についてY建物を競売したり(393条)、X土地の競売で後順位の抵当権者が配当を受けた場合に、その配当額を限度としてY建物に代位したりする(392条)ことが認められます。

しかし、通常の根抵当権のように、継続的な取引から生じる不特定の債権を担保するために複数の不動産に設定された場合は、これらの規定は適用されません。

このように、第三百九十八条の十六は、根抵当権の特殊性を考慮しつつ、特定の状況下でのみ共同抵当の規定を適用することで、担保の実行における公平性を図ろうとするものです。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
法律

コメント

タイトルとURLをコピーしました