民法第三百九十八条の十八 (累積根抵当)

第三百九十八条の十八 数個の不動産につき根抵当権を有する者は、第三百九十八条の十六の場合を除き、各不動産の代価について、各極度額に至るまで優先権を行使することができる。

ただし、第三百九十八条の十六に該当する場合(設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産に根抵当権が設定された旨の登記がある場合)を除きます

この条文のポイントは、原則として、数個の不動産に根抵当権を持つ者は、各不動産の代価について、それぞれの根抵当権の極度額に至るまで優先権を行使できるということです。

どういうことでしょうか?

例えば、AさんがX土地とY建物にそれぞれ極度額5000万円の根抵当権を設定していたとします。
この根抵当権は、継続的な取引から生じる不特定の債権を担保するものであり、第三百九十八条の十六の登記はされていません。

この場合、X土地が競売にかけられて4000万円で売却されたとすると、Aさんはその4000万円全額について、他の債権者に先立って弁済を受けることができます(ただし、その時点での確定債権額が4000万円以下の場合に限ります)。

同様に、Y建物が3000万円で売却されたとすると、Aさんはその3000万円全額について、他の債権者に先立って弁済を受けることができます(同様に、その時点での確定債権額が3000万円以下の場合に限ります)。

このように、各不動産ごとに、それぞれの根抵当権の極度額を上限として優先弁済を受けることができるのが原則です。
これは、根抵当権が、個々の不動産ごとに独立した担保としての価値を持つと考えられているためです。

ただし、第三百九十八条の十六の登記がある場合は、複数の不動産が特定の債権を共同で担保するという性質を持つため、前条の規定と合わせて、優先弁済の範囲も異なる扱いを受けることになります。
その場合は、各不動産の代価を合計した範囲で、全体の極度額を上限として優先弁済を受けることになると解釈されます。

このように、第三百九十八条の十八は、原則として、数個の不動産に設定された根抵当権は、それぞれの不動産の代価について極度額まで優先権を行使できることを明確にすることで、根抵当権者の保護を図っています。

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