この場合において、その払渡し又は供託は、弁済の効力を有する。
これは、根抵当権設定者以外の利害関係人を保護するための規定と言えるでしょう。
第一項について(第三者による根抵当権消滅請求権)
以下のいずれかの者に該当し、かつ元本確定後に現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超える場合に、その者は根抵当権者に対して、極度額に相当する金額を払い渡しまたは供託して、その根抵当権の消滅を請求できます。
- 他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者(物上保証人): 例えば、子の借金のために親が自分の不動産に根抵当権を設定した場合などです。
- 抵当不動産について所有権、地上権、永小作権、または第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者: 例えば、根抵当権設定後にその不動産を買い受けた者、地上権・永小作権・登記のある賃借権を取得した者などです。
この消滅請求が認められるのは、元本確定後に債務額が極度額を超えている状態では、これらの第三者にとって根抵当権が過大な負担となり、その権利行使を妨げる可能性があるため、一定の金額を支払うことで根抵当権を消滅させ、法的地位を安定させることを目的としています。
払い渡しまたは供託は、根抵当権者に対する弁済としての効力を持ちます。
第二項について(第三百九十八条の十六の登記がある根抵当権の特例)
第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権(設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産に設定された旨の登記がある根抵当権)については、一個の不動産について前項の消滅請求があったときは、その根抵当権は消滅します。
これは、複数の不動産が一体として担保価値を構成していると考えられるため、一部の不動産について消滅請求が認められれば、根抵当権全体が消滅するという考え方に基づいています。
第三項について(民法第三百八十条・第三百八十一条の準用)
民法第三百八十条(抵当権の消滅請求の方法)と第三百八十一条(抵当権消滅請求の効果)の規定が、この根抵当権の消滅請求について準用されます。
これにより、消滅請求の手続きや効果についても、通常の抵当権の消滅請求に関する規定が適用されることになります。
- 第三百八十条: 消滅請求者は、抵当権者に対し、取得した権利の種類及び登記の日付、評価額、並びに払い渡すことができる金額を通知して、抵当権者がその金額を受諾するかどうかを回答すべき旨を催告しなければならない、など手続きを定めています。
- 第三百八十一条: 抵当権者が相当の期間内に異議を述べなかったとき、または異議を述べた場合でも裁判所が抵当権の実行によっても消滅請求者に不利な結果とならないと認めて相当の担保の提供を命じた場合に、消滅請求者は通知した金額を払い渡しまたは供託することによって、抵当権を消滅させることができる、など効果を定めています。
このように、第三百九十八条の二十二は、元本確定後の根抵当権について、一定の第三者に消滅請求権を認め、その手続きや効果については通常の抵当権の消滅請求の規定を準用することで、関係者の利益調整を図っています。



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