第三百九十八条の十一 元本の確定前においては、根抵当権者は、第三百七十六条第一項の規定による根抵当権の処分をすることができない。
ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない。
ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない。
抵当権とは異なる根抵当権の性質がよく表れています。
第一項について
- 第三百七十六条第一項の処分の禁止: 元本が確定する前においては、根抵当権者は、民法第三百七十六条第一項に規定されるような、抵当権の譲渡や放棄といった処分をすることができません。
- 民法第三百七十六条第一項では、「抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又はその債権者に譲り渡すことができる。この場合において、その抵当権は、その債権と共に移転する」と規定されています。
- 根抵当権の場合、元本がまだ確定しておらず、担保する債権の範囲や金額が変動するため、抵当権のように特定の債権と結びつけて譲渡したり、放棄したりすることは適当ではないと考えられています。
- 他の債権の担保とすることの許容: ただし、根抵当権者が、その根抵当権を他の債権の担保とすることは妨げられません。これは、根抵当権をさらに担保に入れる、いわゆる転抵当を認める趣旨です。根抵当権の価値を利用して、根抵当権者自身の資金調達などを円滑にするための例外規定と言えるでしょう。
第二項について
- 第三百七十七条第二項の不適用: 民法第三百七十七条第二項は、抵当権が譲渡された場合に、譲渡人が抵当不動産の債務者に対して有する債権について弁済を受けたときは、その弁済額を譲受人の債権額に算入しなければならないと規定しています。
- この規定は、前項ただし書の場合、つまり元本確定前に根抵当権が他の債権の担保とされた場合(転抵当)には適用されません。
- なぜなら、元本確定前の根抵当権は、まだ担保する債権額が流動的であり、転抵当権者の担保する債権額も確定していない段階で、元の根抵当権者に弁済が行われたとしても、その金額を転抵当権者の債権額に単純に算入することが適切ではないと考えられるからです。転抵当権者の保護を図る趣旨と言えるでしょう。
このように、第三百九十八条の十一は、元本確定前の根抵当権の処分について、その特殊性を考慮した上で、原則的な禁止と例外的な許容、そしてその例外に対するさらなるルールの適用除外を定めているのです。



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